平成10年
国民生活白書
「中年」 その不安と希望
平成10年12月
経済企画庁
第I部 人口構成の変化と中年世代
第5章 中年世代と家族・家庭
(家計に占める妻の収入割合の上昇)
中年世代の家計における妻の役割についてみてみよう。中年世代の社帯主(夫)収入に対する妻の収人の割合をみると,1960年代後半には5%程度であったが,97年には12%程度にまで上昇してきている。特に,90年代には世帯主(夫)の収入が伸び悩む中,特に世帯主が40代の世帯での妻の収入の割合が高まっている(第I-5-31図)。
(家計のために働く中年女性)
働いている中年世代女性の働く理由について当庁「選好度調査」(97年)で,若年世代と比較してみると,中年世代は「生計を維持するため」「家計費の足しにするため」などが多い。一方,「自由に使えるお金を得るため」「自分の能力・技能・資格を生かすため」は若年世代の女性に比べて少ない(第I-5-32図)。しかし,総理府「婦人の就業に関する世論調査」(83年),「女性の就業に関する世論調査」(89年),「女性の暮らしと仕事に関する世論調査」(91年)と当庁「選好度調査」を時系列で比較してみると,「視野を広めたり,友人を得るため」「仕事をすることが好きだから」を挙げる割合が高まっているなど,中年女性も働く理由が多様化している傾向にあることがわかる。
(夫の収入が低いほど高い妻の就業率)
中年世代について,妻の就業と夫の収入との関係を総務庁「全国消費実態調査」(付注17,18)でみてみると,夫の収入が低いほど妻が就業している割合が高い(第I-5-33図)。
「世帯主は家計を支えるために働くが,世帯主の収入が低ければその他の家族も働く」という経験則(ダグラス―有沢の法則)があるが,このことは中年世代についても成立している。なお,94年を89年と比べてみると,夫の収入の多寡にかかわらず妻の就業率は上昇している。
(住宅ローンと女性の就業の関係)
中年世代の世帯においては,そのライフステージから,前節の教育費も含め様々な面で支出が多くなる。住宅ローンの返済,利払いもそのひとっである。この住宅ローンと妻の就業率との関係をみてみる。世帯主が30代,40代,50代の世帯について,住宅ローンの有無別に妻の就業率とその働く妻の平均収入とを比較してみると(第I-5-34図),住宅ローンのある世帯では妻の就業率が高く,その平均収入も高い。また,第II部第1章でも述べるように,住宅ローンのある世帯の妻の就業率は上昇してきており,87年の8.2%に対し,97年は11.3%となっている。