平成9年
国民生活白書
働く女性 新しい社会システムを求めて
平成9年11月
経済企画庁
第I部 女性が働く社会
本章では女子の教育について,これまでの変遷と最近のニーズの変化を見,さらに女子の高学歴化と就業との関係について考えた。
(1)戦前は,女子のための高等教育機関は女子高等師範学校と専門学校に限られ,男女別学とされていた。戦後になって,男女共学が実現し,短期大学・大学が増設されていくにつれて,高等教育への女子の進学率は急速に高まった。1989年には短期大学と大学をあわせた進学率で女子が男子を上回った。また,女子の学部専攻も文学部や家政学部のウェイトが低下し社会科学系の学部や理工学部のウエイトが高まっている。
(2)大学や短期大学が大衆化し,女子に大学まで教育を受けさせたいと考える親の割合は今や4割を超えている(短期大学,高等専門学校を含めると8割近くになる)。高等教育に対する女子のニーズも,これまでの教養を重視したものから就業との関係を重視したものに変わってきている。
こうしたニーズの変化に対し,女子大学,短期大学,家政学部を含め高等教育機関は新たな対応を迫られている。
(3)米国においても女子の高等教育は女性の就業の動きと関わりながら変化してきた。
(4)1990年代には,女子学生にとっての「就職氷河期」があった。かつてないほどの景気の低迷がその最大の理由であるが,日本的雇用慣行が典型的である大企業を中心に従業員の雇用の安定を図るため,新規の採用が手控えられたという面もある。
(5)日本では,高学歴になるほど男女間の賃金格差が小さい。すなわち,女子にとって高学歴となる利点は相対的に大きい。しかしながら,女子の高学歴者の労働力率は国際的にみて低く,高学歴の利点が十分に活用されていない。このことは社会的な損失であるとも言える。結婚に際して理想では就業継続を希望しているが,現実には退職しているといったギャップが高学歴者に見られる。この点,日本的雇用慣行のもとで,特に高学歴女性の就業継続率再就職が困難になっていることも考えられる。