平成9年
国民生活白書
働く女性 新しい社会システムを求めて
平成9年11月
経済企画庁
第I部 女性が働く社会
第3章 働く女性と家族
(女性にとっての結婚の利点の減少)
従来,女性にとって結婚とは,家族を形成するとともに,安定した所得を確保するという経済的利益を持つものであったが,女性の経済的地位の向上とともに結婚に対する意識も変化してきた。つまり,結婚することによって得られる利点と独身でいることの利点を比較した場合,女性の就業機会,稼得機会の増大等により後者が相対的に大きくなってきたといえる。
(晩婚化の進行,未婚率の上昇)
女性にとって結婚の経済的な利益が減少していることが,晩婚化(平均初婚年齢の上昇)の進行,未婚率の上昇の原因の1つとなっているとみられる。日本における平均初婚年齢の推移を長期的にみてみると,1950年には男性25.9歳,女性23.0歳であったものが,ほぼ一貫して上昇し,95年にはそれぞれ28.5歳,26.3歳となっている。また,25〜29歳女性の未婚率は1965年の19%から95年の48%にまで上昇している。この間同年齢層の労働力率は47%から66%へと高まっている。
特に日本の場合,女性の平均初婚年齢が上昇している背景として,女性の高学歴化のテンポが男性と比べた場合顕著であることがあげられる。高学歴化は,女性の就学期間の長期化,職業意識の高まりによる勤続年数の長期化等を通じて平均初婚年齢を上昇させるものと考えられる。また,一般に高学歴であれば高収入を得る機会も多くなるため,女性にとって結婚せず,就業を続けることの利益はそれだけ大きくなる。言い換えると,就業をやめて,結婚することの機会費用はそれだけ大きくなることとなる。
女性の晩婚化には,高学歴化自体その要因となっていることの他,価値観の多様化や生活環境,ライフスタイルの変化など様々な要因があり,どの要因がどの程度影響しているか,一概にその強さを判断することはできないが,ここでは,働く女性という観点から,賃金との関係について,都道府県別の平均初婚年齢と賃金との関係でみると,賃金が高い地域では女性の平均初婚年齢も高くなっている(第I-3-6図)。また,女性の初婚年齢と労働力率の1970年以降の推移を,日本,アメリカ,ドイツ,フランス,イギリス,スウェーデンについてみてみると,90年以降のスウェーデンを除き,各国とも,両者が同時に上昇している(第I-3-7図)。
(離婚率の上昇)
一方,離婚率もまた上昇しているが,その背景の1つとして,女性の経済的な地位向上が指摘されている。-離婚率はいずれの国においても1970年代から上昇している。日本も,諸外国と比べて低い水準にはあるものの,96年には離婚組数は21万組,人口千人対比で1.66となり,戦後最高を記録している。