平成9年
国民生活白書
働く女性 新しい社会システムを求めて
平成9年11月
経済企画庁
第I部 女性が働く社会
本章では,女性が働くことと家族との関係について分析を行った。
(1)国際的にみて日本の男性の家事分担は少ない。実際の家事時間は,平日についてはこの25年間全く変化がみられないが,土曜,日曜については,週休2日制の普及などもあって若干ながら増加している。
(2)一方で,女性の経済的な地位が向上しながら,現実には家事と仕事で二重の負担が生じていることから,女性にとっての結婚の利点が減少し,未婚率の上昇,晩婚化の進行にもつながっている。
(3)女性の就業は出生率が低下していることにも関連があるとみられる。
20歳代から30歳代前半の女性が仕事をやめた理由としては,結婚,育児のためとする割合が多く,また,フルタイムで働く女性(妻)については,理想の数だけ子供を持てない理由として,教育費等の経済的な理由とともに「仕事と育児との両立は困難」とする割合が多くなっている。
(4)働く女性が子供を産みやすいような環境を創っていくことが重要である。そのような観点から計量的な分析を行った結果,私的支援の指標としての世帯人員数や保育サービスの供給面を表す指標としての保育所定員数等が多いと,女性就業者の出生率や乳幼児を持つ女性の有業率が高いとの結果が得られた。このことは,女性の就業と出産・育児の両立を支援するための体制が整っている地域では,女性の就業率が上昇しても出生率を低下させずにすむ可能性があることを示している。
女性の職場進出は,女性が家事を行うとともに外で働くことになるので,様々な問題を生じさせることになった。妻が家事に専念し,夫が外で働くという専業主婦を前提とした男女の分業関係は,妻も夫もともに外で働くのであれば変化せざるをえない。また,女性の経済的自立が容易になり,仕事をやめなければならないという意味での結婚や出産・育児の経済的費用が高まり,女性にとって結婚により経済的安定が得られることの価値が低下している。外で働くとともに家事を担う女性の不満も,特に育児をめぐって目立っている。少子化はその不満の表れという面をも持っと考えられる。このように家事労働をめぐる男女の役割分担という家庭内の夫と妻の問題とともに,少子化という社会全体にとっての問題点を整理し,解決のための方策を検討したい。