平成9年

国民生活白書

働く女性 新しい社会システムを求めて

平成9年11月

経済企画庁


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第I部 女性が働く社会

第2章 働く女性と企業

第6節 様々な場で活躍する女性

1. 国際的に働く女性

(外資系企業では「活用されている」と考える女性が多い)

国際化が進展する中で,我が国に進出する外資系企業も増加している。また,海外で活躍する女性が話題になることも多い。

外資系企業では,国内企業に比べ一股的に女性の活用がすすんでいるといわれる。1989年に日本労働研究機構が行った「外資系企業組合員・従業員調査結果」によると,外資系企業で働く女性の18.4%が「現在の会社を選択した理由」として,「性別にかかわりなく能力を発揮できる」と考え,「現在の外資系企業に働いていて日本企業と異なると感じている点」について「女性が活用されている」と回答している女性は30.8%であり,男性の8.3%とは大きな差がある(第I-2-29図)。このように,女性の主観的意識としては,外資系企業では,女性の活用が図られていると感じていることがうかがわれる。

また,労働省「外資系企業の労使関係等実態調査結果」(96年)によれば,「人事・労務管理の考え方」について,国内企業に比べ外資系企業の方が「採用・人事」,「賃金」などにおいて,「当該職務遂行能力」を重視する傾向がある。今後,国内企業においても,一層能力主義的な人事・労務管理が進むことが予想されるが,それに伴って女性の活用が促進される可能性があることを外資系企業の状況は示唆しているとも考えられる。

(国際機関で働く女性の増加)

一方,海外で働く女性のうち,在外公館や外務省,主要な国際機関などへの女性の参加状況をみると年々その数は増え,日本人職員全体に占める割合も高くなっている。例えば,国際連合事務局へ勤務する日本人女性は,1975年の7人から95年には40人へと6倍近くに増え,日本人職員全体に占める割合も16.7%から52.6%へと上昇している。国連難民高等弁務官や国連児童基金の職員では女性は半数を超えている。また,96年9月30日現在,派遣中の青年海外協力隊の2,191人のうち半数近くの991人が女性である。

2. 公務で働く女性

(比較的勤続年数の長い公務員の女性)

公務員は女性が働きやすい職場といわれるが,その実態をみてみよう。まず,公務員(教員や保健・医療などを除く)の男女比率を総務庁「労働力調査.(1996年)でみると,常雇の女性の公務員の全体に占める割合は16.0%と,常雇(役員を除く)の全雇用者の女性の割合36.9%よりも低い。しかしながら,勤続年数について,総務庁「就業構造基本調査」(92年)でみると,公務(他の産業に分類されていない)の女性職員の平均は13.7年と全産業の女性9.1年に対して長い。

また,総務庁「国勢調査」(95年)によると女性の公務員(教員や保健・医療などを除く)のうち,配偶者のいる比率は66.3%と雇用者全体のそれの56.0%より高く,結婚後も働き続けてい乞割合が高いことがうかがわれる。

(既婚者の割合が高い女性の管理的公務員)

以上のことは,キャリアアップを図っている女性にもあてはまるとみられる。例えば,女性職業財団が89年に東京,大阪,名古屋の各証券取引所上場の2,027企業を対象に実施した「女子管理職調査」では,女性の管理職のうち,未婚が59%となっているのに対して,85年の国勢調査では女性の管理的公務員のうち,配偶者がいる割合は72%となっている(第I-2-30図)。

(充実している育児休業制度)

このように女性が継続して働ける要因として,国や全ての地方公共団体で育児休業制度が導入され,95年度には対象女性の83.7%以上が育児休業制度を活用したように家庭と両立しやすい制度が比較的整っていることがあげられる。また,就業構造基本調査の就業理由として,「知識や技能を生かしたかった,とする女性の比率が公務員では13.6%で全体の平均6.0%を大きく上回っているように,仕事に意欲的な女性が多いこともあげられる。

なお,アメリカでは,フルタイムで働く公務員(教員なども含む)のうち,女性の割合は,93年で43.9%となっており,公務員の管理職に占める女性の割合は,31.5%となっている。

3. ボランティア活動を行う女性

(ボランティア活動等で重要な役割を果たす女性)

95年に発生した阪神・淡路大震災や97年の日本海重油流出事故等において,ボランティアグループ等が救援活動や被害防止活動等において大きな役割を果たし注目を集めた。全国社会福祉協議会「ボランティア活動年報」によれば,都道府県,政令指定都市社協及び市区町村社協ボランティアセンターに登録または把握されているボランティアの人数は,80年の160万人から95年には505万人を超えるなど,年々増加している傾向がみられる。

当庁が96年に実施した「市民活動団体基本調査」により,市民活動団体の事務局スタッフの性別をみると,「女性だけあるいは女性がほとんど」という団体が38%と「男性だけあるいは男性がほとんど」である団体の24%を上回っており,女性が市民活動団体の運営において重要な役割を果たしていることがうかがえる。

(今後一層役割が高まるボランティア活動)

総理府の「生涯学習とボランティア活動に関する世論調査」(1993年)によると,「ボランティア活動に参加して良かった」と思うこととして,95%以上の女性が,「ものの見方や考え方が深まった」「多くの人たちとの交流の場を得ることができた」をあげているなど,女性自身の自己実現や自己啓発にも結びついていることがうかがわれる。

国の歴史や社会の意識が異なり,単純な比較はできないが,アメリカでは,18歳以上の国民の半数が週に4時間以上ボランティア活動を行っている。我が国でも,国際化や高齢化が進展していく中で,政府部門,民間営利部門に次ぐ第三部門としてボランティア活動の役割が一層高まっていくと考えられる。現在,ボランティア活動をはじめとする市民活動を行う団体に広く法人格を付与するため,いわゆるNPO(Non-Profit Organization)法案が,議員立法として国会で審議されている。

4. 無償労働に従事する女性

我が国のGDP(国内総生産)は年間約500兆円にも達している。女性の職場進出もこの成長に寄与してきた。しかし,このGDPの中には市場で労働力を提供して金銭的な対価を得る有償労働は対象として含まれているが,家庭内での家事や育児,ボランティア活動といった対価を要求しない無償労働が生み出したものは含まれていない。

1995年に開かれた国連世界女性会議において,無償労働の貨幣評価を促進すべきことが行動綱領に盛り込まれ,我が国では今年の5月に当庁で初めてその試算が行われた。それによると,91年の無償労働の評価額は98兆8千5百万円であり,対GDP(国内総生産)比では21.6%にも相当する。

1人当たり年間の評価額を,働いている夫,妻,専業主婦別それぞれについてみてみると,専業主婦の無償労働の評価額は276万円となっており,これは女性の平均市場賃金234万円を上回っている。また,外で働いている妻の場合,無償労働の評価額177万円と平均市場賃金を合わせると411万円であり,夫について同様の計算をした場合の440万円に近い。これらの評価額は,家事や育児,ボランティアなどの無償労働に要した時間をベースに,本人がこの間有償労働に従事していた場合得られたはずの賃金で評価したものとなっている。

また,諸外国における無償労働の対GDP比は,カナダ54%,オ-ストラリア69%,ドイツ63%となっており,我が国の無償労働の対GDP比は国際的にみてかなり低くなっている。これは,計測される無償労働の範囲が国によって異なる等の理由のほか,我が国では,無償労働評価額における女性の占める割合が約8割5分と際立って高いが,評価の基本となる女性の賃金が男性の約6割と他国に比べて低いためと考えられる。


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