平成9年

国民生活白書

働く女性 新しい社会システムを求めて

平成9年11月

経済企画庁


[次節] [目次] [年次リスト]

第I部 女性が働く社会

第2章 働く女性と企業

第1節 企業で働く女性の現状

(韓国,香港とともに大きい我が国の男女間賃金格差)

男女間賃金格差は,男女間の勤続年数,役職者の割合,職種,産業の違いなど様々な要因によって生じているものであるが,日本における状況を時系列でみると,1970年に男性の賃金を100とした場合の女性の賃金の水準は56.1であったのが96年には63.5と,わずかずつではあるが,男女間賃金格差は縮小傾向にあるのがわかる(第I-2-1図)。年齢別にみると,20歳代後半から30歳代において格差の縮小が顕著である。

また,国際的な状況をみるとアメリカが75.5,ドイツが74.2,フランスが80.8など日本は,欧米諸国と比較して格差が大きい(第I-2-2図)。またアジア諸国・地域の状況をみると,韓国が59.6,香港が60.9と日本よりも格差がやや大きい。しかし,韓国と香港の状況は大きく異なり,韓国では82年に46.0であったのが95年には59.6と格差が大きく縮小したのに対し,香港では82年に75.9だったのが95年には60.9と男女間賃金格差はむしろ拡大傾向にある。

さらに年齢ごとの賃金格差の状況をみると,各国とも年齢が上がるほど賃金格差は拡大している。日本は20歳代では,アメリカとイギリスの間に位置するが,30歳代以降格差は急激に拡大し50〜54歳では52.2となる。アメリカ,イギリスは30歳代以降,格差が日本よりも小さい(第I-2-3図)。

(男性との差が大きい我が国の女性の勤続年数)

平均勤続年数について主要国の状況をみると,日本の女性の勤続年数は8.2年であり,欧米諸国の女性と比較すると,ドイツ,フランスよりは短いものの,アメリカ,イギリスよりは長い(第I-2-4図)。また,勤続年数について男女の比率をみると,日本は63%であり,欧米諸国と比較して男女の格差が大きい。欧米諸国の中ではアメリカ,フランスで特に格差が小さい。また,韓国は勤続年数が短く,男女間格差が大きい。

次に,日本における勤続年数の推移をみると,男女とも勤続年数は長期化の傾向がみられる。女性の平均勤続年数は1960年に4.0年だったが,80年には6.1年になり,95年には7.9年と60年と比較して3.9年の伸びがみられる(第I-2-5図)。また,15年以上の長期勤続者の割合も80年には8.5%だったのが95年には16.5%とほぼ2倍近くに増加している。

(職場では「男性優遇」)

職場において女性はどのような状況にあるのだろうか。総理府「男女共同参画に関する世論調査」(95年)によれば,「男性の方が優遇されていると考えている人は,男性では55.7%,女性では62.0%,男女計では59.3%と,約6割の人が男性が優遇されていると考えていることがわかる。

また,職場での女性の働きぶりについてみても,同様のことが言える。経団連「女性の働き方に関するアンケート調査」(94年)によれば,「女性社員が男性社員と同程度の活躍や昇進をしていますか」という問に対し,男性の26.6%が「思う・やや思う」と回答しているのに対し女性は16.5%となっている(第I-2-6図)。また,同じ問に対し「思わない・あまり思わない」と回答した人も男性が36.8%に対し女性は53.9%と女性の半数以上は職場において男性と同等に活躍や昇進をしているとは思っていない。

次にその理由をみると,男女とも「男性中心の業界慣行」「女性はプロ意識が希薄」「出産・育児の負担がある」などの理由が多い。男女の認識の差をみると,女性では「男性中心の業界慣行」「会社の育成方針が不適切」「上司がチャンスを与えたがらない」などが多く,逆に男性では「勤続年数が短い」「残業・深夜業ができない」などが多くなっており,女性は目にみえない慣行・方針など,男性は女性の意識,制度などが原因であるとの認識が強い。

(増加傾向にある「男女とも配置」される職務)

それでは女性は職場でどのように処遇されているのだろうか。労働省「女子雇用管理基本調査」により,女性の配置転換の実施状況についてみると,「男女とも同じ事業所内配置転換」「転居を伴わない事業所間配置転換」を行う企業は,1984年には約半数程度であったのが,95年にはそれぞれ93.6%,85.9%とほとんどの企業が行うようになっていることがわかる(第I-2-7図)。また,「転居を伴う事業所間配置転換」についても84年と比較すると大幅に増加し,「海外への配置転換」についても95年には42.5%の企業において実施されている。

次に同調査により,職務別の男女の配置状況についてみると,95年に人事・総務・経理,企画・調査・広報,研究・開発,情報処理,営業,販売・サービス,生産等各職務とも半数以上の企業が92年と比較すると「男女とも配置」すると答えており,特に研究・開発,営業などこれまでは男性主体であった職務についても「男女とも配置」が増加傾向にある。

反面,従業員を「総合職」「一般職」という2つの職種に区分し,主として女性を一般職として処遇するいわゆる「コース別人事管理」を採用する企業も大企業を中心にみられる。しかし,「男女雇用機会均等法」が改正され,99年4月からは女性のみの募集・採用が原則として禁じられることとなったため,コース別人事管理を行ってきた企業については新たな対応が必要となるものと思われる。

(増加傾向にはあるがまだ多くない女性管理職数)

職場で男女を同様に配置する企業が増加している中で,女性管理職の状況はどうなっているだろうか。1980年に全管理職の2.1%を占めていた女性管理職は,85年には2.5%となり,86年の「男女雇用機会均等法」の施行を境に増加傾向を強め,95年には4.2%,96年には4.5%となっている(第I-2-8図)。

管理職の平均年齢を労働省「賃金構造基本統計調査」(96年)でみると,係長では男性の41.9歳に対し女性は43.9歳,課長は男性の46.6歳に対し女性は48.0歳と,男女の間に大きな差はみられない。また,「女性管理職あり」の企業割合を,労働省「女子雇用管理基本調査」でみると,係長以上の「女性管理職あり」の企業割合は92年には54.7%であったが,95年には58.8%にわずかながら増加している。役職ごとに増加の割合をみると92年から95年で部長では7.2%から14.3%,課長で19.1%から30.6%,係長で38.2%から72.1%と大幅に増加している。

以上のことから,管理職に占める女性の割合及び女性の管理職がいる企業の割合はともに増加傾向にあるが,管理職全体に占める女性の割合はまだ低いことがわかる。

また,管理職数に占める女性比率を国際的にみると,「管理・監督的職業従事者」全体に占める女性の比率は日本は8.2%で,アメリカの42.7%,イギリスの33.0%,ドイツの25.6%などと比較して低い(第I-2-9図)。