平成5年

国民生活白書

豊かな交流 人と人のふれあいの再発見 

平成5年11月12日

経済企画庁


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第I部 豊かな生活と交流

第5章 交流とボランティア活動

第1節 社会参加活動の状況

本節では,人々の社会とのかかわりの様子とその背景について分析する。

(社会との主体的なかかわり)

人々の求めるものが「物」から「心」へと移る中で,第2章でみたように職場,地域,家庭での人と人とのかかわり方は次第に変化しており,非選択的な帰属関係に起因したつきあい方から,今後は自己の価値観に基づき,主体的・多元的に,他者あるいは社会と新たなかかわりを持とうとする人が増えていくものと思われる。

それでは,現在の人々は社会的な活動にどのくらい参加しているのだろうか。

総務庁「社会生活基本調査」(平成3年)によると,過去1年間の「社会的活動」(報酬を目的としないで自分の労力,技術,時間を提供して地域社会や個人・団体の福祉増進のために行う活動)の行動者率は全体で30.O%,男性28.3%,女性31.5%となっている。これは,過去1年間に1日でも行動したことがあればよいという条件での設問であることを考慮する必要があるものの,ほぼ10人に3人が居住地域での奉仕活動やその他の社会活動などに参加し,仕事以外での人や社会とのかかわり妻持っていることになる。

これを,男女別,年齢別にみると,30・40歳代の女性や60歳代の男性で社会的活動をしている人が多くなっていることが分かる (第I-5-1図)。一方,社会的活動をした者の1日の平均時間(週平均)は,20歳代の若者や60歳以上の男性,50歳代の女性で長くなっている。

若者の場合,社会的活動をする人は少ないが,学生など比較的時間に余裕のある者が多いこともあって,活動時間が長い。逆に,30歳代の女性では,活動している者は多いが,活動時間としては短くなっており,この年齢層の女性には子育てや家事の都合でまとまった時間がとりにくい人が多いためであろうと考えられる。この背景には,結婚・出産を機に家庭に入った女性も何らかの形で社会とのかかわりを持ちたいという意識が高まっていることが挙げられる。加えて,30歳代よりも40・50歳代の女性の活動時間が長くなっているのは,少子化現象にともない子育て期間が短縮され時間的ゆとりができたことも影響していると考えられる。おもな活動の例としては,地域での奉仕的な活動のほかに,PTA活動や消費生活協同組合等の活動が挙げられよう。

また,勤め人であればその多くが定年退職を迎える60歳以上の男性は,同年齢層の女性より社会参加に積極的であり,健康で活動的な高齢者が活躍の場を会社から社会へ移していることがみてとれる。

現役サラリーマンでは,仕事以外のグループや団体に所属していない人が約3割いるが,サラリーマンOB(定年等の退職経験者)では,どんな団体やグループにも所属していない人は15.8%に減り,「旧職場の集まり」や「町内会・自治会や防災・防犯協会」等に参加する人が多くなっている((財)シニアプラン開発機構「サラリーマンの生活と生きがいに関する調査」(平成3年))。

サラリーマンの場合,定年退職後も生きがいや活動の場を地域に求める場合が多いものとみられ,40〜50歳代ごろから社会にかかわることや地域に目を向けておくことが大切であると思われるが,現役のザラリーマンの自由時間の過ごし方をみると,「社会的活動」についてはすべての曜日において増加していることが分かる。仕事を持つ者の休日の過ごし方は休養をとることが中心であったのが,週休2日制の導入が進み自由時間が増えたことで,趣味や社会的活動に参加するなど,積極的に交流を求めて行動する時間を持つゆとりができたものと思われる(第I-5-2図)。

(社会に対する意識)

社会とのかかわりを持とうとする人が徐々に増えている背景には,人々の社会に対する意識の変化があると考えられる。

はじめに,人々が現代の世相をどのように評価しているか総理府の世論調査でみてみよう。

「良い意味」ではどの年齢層も「平和」を挙げる者が多く,全体で70.6%にのぼっている。一方,「悪い意味」では「自分本位(57.5%)」と無責任の風潮がつよい(49.2%)」を挙げる者が多くなっている (第I-5-3図)。40歳以上では「自分本位」が若年層よりも若干多く,「ゆとりがない」は若年層で多くなっている。また,「連帯感が乏しい(22.9%)」が「連帯感がある(2.4%)」に比べ非常に高くなっている。

次に,人々の最近10年間の社会意識の変化をみると,「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」という意見の割合は昭和57年の33.1%からほぼ横ばいで推移し,62年にいったん31.7%と落ち込んだもののその後増加し,平成4年には52.6%となり,社会のことに目を向けようという意識を持つ人が過半数を占めるようになった。年齢層別にみると50歳代で社会意識が高く,平成4年には56.6%となっている (第I-5-4図(1))。

また,「何か社会の役に立ちたいと思っている」という者の割合は昭和57年の43.3%から緩やかに増加し,62年に52.6%,平成4年に61.7%と増加しており,年齢層別では「社会のことに目を向けるべき」という意見同様,50歳代で高,平成4年には68.6%となっている(第I-5-4図(2))。

以上のように,現在の世相について多くの人々は「自分本位で無責任,連帯感の乏しい社会」と評価しているが,一方では,社会のことに目を向ける気運や社会貢献意識が高まりつつあり,社会とのかかわりの意義を見直していこうという気持ちが芽生え始めている。こうした中で,社会的連帯感を回復したり,精神的な充足感を得るための方途の一つとしてボランティア活動が注目される。


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